なぜ警察から電話がくる? 無視したらどうなるのかケース別に解説
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事件を起こしてしまったり、事故に巻き込まれてしまったりした場合だけでなく、とくに身に覚えがなくても突然、警察から電話がかかってくることがあります。
一体、警察はなぜ電話をかけてくるのでしょうか? 電話に出られなかったり、折り返しの連絡をしなかったりすると何か不都合が起きてしまうのかも気がかりになるはずです。
本コラムでは、警察から電話がかかってくる理由や電話に応じたとき、あるいは電話を無視したときに起きることを、ベリーベスト法律事務所 津オフィスの弁護士が解説します。
1、【ケース別】警察から電話がくる理由とは? 無視したときに起きること
警察から電話がかかってくる機会など、めったにあるものではないでしょう。そのため、着信履歴を調べてみると警察署の電話番号だった場合は「なにか大変な事態なのだろうか?」と不安になるのも当然といえます。
一体、なぜ警察から電話がかかってくるのでしょうか? 警察が一般市民に電話をかけてくる理由や、電話を無視するとどうなるのかについて解説します。
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(1)犯罪の嫌疑をかけられている
警察は、犯罪の疑いがある人について捜査をする機関です。犯罪の事実を確認するために、被疑者に電話をかけて警察署への呼び出しをかけることがあります。電話に出れば「話を聞きたいので出頭してほしい」と要請されるでしょう。
警察からの出頭要請に強制力はありません。しかし、電話に出なければどんな容疑がかけられているのか、警察はどのような方針なのか、穏便に解決できる方策は存在するのかを確認することもできません。また、無視を続けていると逃亡や罪証隠滅のおそれがあると判断されて逮捕に繋がる危険もあるため、むやみに無視するのは賢明ではありません。 -
(2)交通反則通告制度に関する連絡
交通違反のうち、固定式の測定器による速度取り締まりのように違反の現場を警察官が現認するのではなく写真撮影によって証拠を集めるケースや駐車違反などでは、あとで出頭を求める電話がかかってくることがあります。
この場合も、強制力はありませんが、むやみに無視するのは賢明ではありません。 -
(3)事件や事故の参考人として事情を聴きたがっている
警察が事件や事故の捜査を進める際には、目撃者や何らかの事情を知っている参考人から詳しい話を聴取します。自分では事件・事故にまったく身に覚えがないなら、参考人として話を聴きたがっているのかもしれません。
身に覚えがなくても、クレジットカードの不正利用などのように自分の知らないところで被害に遭っていることもあるので、無視するのは得策ではないでしょう。 -
(4)家族が事件を起こしてしまった
警察が事件の被疑者を逮捕した場合は、さまざまなシーンで家族に連絡を取ります。
- 家族を逮捕したので、警察から今後の流れなどを伝えたい
- 事件が発覚して取り調べをしたので、帰宅させるために身元引受を依頼したい
- 本人の日常生活などを知るために家族からも事情を聞きたい
事件を起こしたのはあくまでも本人であり、家族までその責任を負うわけではないので、電話に出るのも出ないのも自由です。
しかし、逮捕されていれば「家族が帰ってこない」と心配する事態になりますし、在宅事件として帰宅できる場合でも身元引受がスムーズにできないとなかなか帰宅させてもらえません。
迅速な対応を取るためには、電話に出たほうがよいでしょう。 -
(5)要注意! 警察を装った詐欺のケースもある
携帯電話やスマートフォンの電話帳に登録していない電話番号から電話がかかってきて「〇〇警察署の者です」と名乗ってきたら、まずは「本当に警察からの電話なのか?」を疑いましょう。
近年、警察を装って嘘の事件・事故などのトラブルをかたり金銭をだまし取る詐欺の手口が横行しています。
警察を名乗る電話がかかってきたときは、警察署の名前と担当部署、担当者の氏名を聞き、断りを入れたうえで、いったん電話を切り、警察のホームページや電話帳から警察署の代表電話番号を調べてこちらから電話をかけて確認したほうが安全です。
警察官もこういった事情を理解しているので「こちらで番号を調べて電話する」と伝えれば、担当部署や担当者を教えてくれます。
2、警察からの電話や呼び出しに応じるときの注意点
警察からの電話に応じる際や呼び出しに応じたときに気を付けるべきポイントを挙げていきましょう。
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(1)電話に応じるときに気を付けるべきこと
たとえ警察からの電話でも「必ず電話にでなければならない」といった強制力まではありません。もちろん、電話に出たからといって必ず呼び出しに応じる必要もなければ、電話に出なかったこと自体にペナルティーが下されることもありません。
しかし、単に「いやだ」「面倒だ」といった理由で無視していると、不利な事態をまねくおそれがあります。仕事などの都合で電話に出られなかった場合でも、できるだけ早いうちに折り返しの連絡を入れたほうが賢明です。
電話に出たら、できる限り誠実な対応を心がけましょう。悪態をついたりしても、プラスにはたらくことはないでしょう。 -
(2)呼び出しに応じたときに気を付けるべきこと
警察からの呼び出しに応じると、取り調べや事情聴取を受ける流れになるケースが多いでしょう。
被疑者として取り調べを受ける時でも、黙秘権という権利があるため、質問に対して回答しないことができます。もっとも、事案によっては、黙秘権を行使すると不利になる可能性もあるので、黙秘権を行使するかどうか弁護士に相談することが望ましいでしょう。
また、取り調べや事情聴取の結果が供述調書に録取される際は、注意を払いましょう。供述調書は被疑者や参考人が述べた内容をまとめて警察官が作成する文書であり、話した内容の一言一句をそのまま記録するものではありません。
完成した供述調書の内容が話した内容と異なっている可能性もあるので、もし誤りがあれば修正を申し出ましょう。もし修正してもらえない場合は、毅然として調書へのサイン・押印を断りましょう。
もし警察からの呼び出しを受けて対応に不安を感じているなら、出頭に先立って弁護士に相談しましょう。出頭する予定日まで時間がないなら、弁護士を通して警察の担当者に日程変更を申し出ることも可能です。
そもそも、任意の出頭要請には強制力がないので、警察が指定した日時の出頭が難しい場合は変更が可能です。警察側はできるだけ早く事情を聞きたいと考えているので「今から」「明日にでも」とせかしてきますが、万全の対策を講じるためにも余裕をもった日程に調整してもらいましょう。
3、逮捕されなくても処罰されることがある
警察からの電話を受けて警察署に出頭し取り調べを受けても、その日の取り調べが終わると「帰ってもよい」と帰宅を促されることがあります。こういったケースでも、安心してはいけません。
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(1)捜査手続きには身柄事件と在宅事件がある
警察や検察官といった捜査機関の捜査手続きには、「身柄事件」と「在宅事件」とがあります。被疑者を逮捕して身柄を拘束したうえで進められるのが身柄事件、被疑者を逮捕せず任意の身柄として扱うのが在宅事件です。
警察に呼び出されて取り調べなどの捜査を受けたものの逮捕されていないといった状況なら、現段階では在宅事件として扱われていると考えてよいでしょう。
身柄事件では、逮捕の段階で72時間以内、さらに勾留を受けると最大で20日間以内にわたる身柄拘束を受けます。自宅へ帰ることも、仕事や学校へ行くことも許されず、家族や友人などへの連絡も許されません。
あらゆる自由が強く制限される身柄事件と比べると、身柄拘束を受けない在宅事件のほうが被疑者本人の負担は軽いといえるでしょう。 -
(2)在宅事件でも起訴されれば刑事裁判が開かれる
身柄拘束による不自由や不利益といった面に着目すれば、身柄事件よりも在宅事件のほうが有利です。ただし、在宅事件だからといって安心するのは危険です。
たとえ在宅事件でも、検察官が起訴に踏み切った場合は刑事裁判が開かれます。検察官が起訴に踏み切った事件のほとんどは有罪判決が下されるので、在宅事件でも処罰される危険が消えるわけではないと心得ておきましょう。
4、警察から電話で呼び出しを受けた! まずは弁護士に相談を
突然の警察からの電話で取り調べや事情聴取などのために呼び出しを受けてお悩みなら、
まず弁護士に相談しましょう。
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(1)警察への対応に向けたアドバイスが得られる
警察が電話で「あなたに容疑がかかっている」と正直に話してくれるとは限りません。電話だけではどのような目的で呼び出しを受けているのかも判然としないので、この先どうなってしまうのかと強い不安を感じてしまうこともあるでしょう。
弁護士に相談して詳しい状況を説明すれば、警察の目的や方針について予測し、どのような対応をすればよいのかのアドバイスが得られます。罪を犯したと自覚しているなら、逮捕されるリスクの程度を判断することも可能なので、今後の方針を決めるにあたって重要な助言になるはずです。 -
(2)事件を解決するための弁護活動が期待できる
犯罪の疑いをかけられている状況なら、弁護士のサポートは必須です。
取り調べで不利に陥らないために気を付けるべきポイントのアドバイスが得られるだけでなく、逮捕や刑罰を避けるための示談交渉や捜査機関へのはたらきかけなどが期待できます。
弁護士への相談は「できるだけ早く」が鉄則です。また、在宅事件の場合は、身柄拘束を受けていないので焦燥感が少ないかもしれませんが、対応が遅れてしまうと大変な事態になりかねません。
身柄事件では、逮捕直後の当番弁護士制度や資力が少ない人を支援する国選弁護人制度が用意されていますが、在宅事件ではこれらの制度を利用できません。捜査の流れにまかせていると、弁護士を依頼する機会を逃したまま刑罰を科せられてしまう展開も考えられます。
警察から疑いをかけられていると感じた時点で、すぐに弁護士に相談してサポートを依頼することをおすすめします。
5、まとめ
警察からの電話だからといって、必ず出ないといけない、呼び出しに応じないといけないといった強制力はありません。しかし、むやみに電話を無視していると逮捕の危険が高まるだけでなく、厳しく処罰されてしまうおそれも高まります。
警察からかかってきた電話に不安を感じている、呼び出しを受けたがどのように対応すればよいのかわからないなどのお悩みがあるなら、弁護士への相談を急ぎましょう。
警察への対応や刑事事件の解決に向けたサポートは、ベリーベスト法律事務所 津オフィスにおまかせください。実績豊富な弁護士がスタッフと一丸になって全力でサポートします。
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